父親が亡くなったので兄弟間で遺産分割の話し合いをしようとしたところ、実は祖父の時の相続問題が片付いていなかった・・・
といったご相談は、よくあります。
こういった事例では、不動産の一部にまだ祖父の名義が残っていたりしますので、やっかいですね。
遺産分割の話し合いは、法律上の相続人全員が関与しなければ有効ではありませんから、自分達が把握している親族だけで話し合いをすれば済むという問題ではありません。
最近は子供の数が少ないと言われますが、戦後間も無い時代までは、一家族に兄弟姉妹が10人というのはザラです。
もうどこにいったのかわからない、数十年来やり取りのない親戚も話合いに含めなければ、祖父名義の不動産登記も変更出来ないのです。
こういった相続の案件では、まず、相続人全員の確定を真っ先に行わなければなりません。
その後、関係する相続人全員に連絡を取り、祖父名義となっている遺産(不動産など)についてどのような分け方をするか、協議を始めることになります。
そこでます、弁護士はどうするかというと、まず戸籍調査などを引き受けることになります。
弁護士は、業務の一環として他人の戸籍を取り寄せることができますので、全国に散らばった戸籍や住民票を辿り、相続人の氏名や所在を調べるのです。
知らない叔父叔母が何人もいて、その叔父叔母の中には亡くなっている人がいたり・・・(その場合、叔父叔母の子供=従兄弟にあたる人が相続人になります。)、
更に従兄弟の中にも亡くなっていた方がいたり・・・(その子供=甥姪に当たる人が相続人になります。)
ということもありますから、相続が数代に渡っている時は、関係する相続人の所在を探し出すのに苦労することが多いです。
ちなみに、以前あった案件の中には、逆に相続人が1人だと思いこんでいた親族の方が、実は亡くなった方の前妻の連れ子で、相続人ではなかったといったこともありました。
こういった調査を苦労してやって、はじめて相続人が確定します。
しかし、相続人が確定しても、話合いがまとまらないと遺産分割はできません。
実は、相続人が確定してからも大変で、関係者の数が多い場合には、意見の一致が見られず、また、書類のやり取りや連絡をするだけでも事務作業が膨大で、一苦労です。
相続手続きが数代に渡って放置されていると、関係者探しやその後の話し合いが物凄く大変になります。
何事もそうですが、問題を先送りにして良いことなど何もありませんね。
相続問題も先送りせず、家族の誰かが亡くなれば、その都度、面倒くさがらずに相続手続きを完了しておかないと、後々苦労しますから、皆さん気を付けてください。
時間がたってしまうと、話し合いの対象となる遺産がどこにあるのか、どこまでが遺産なのかも良くわからない状態になっているということも、よくあります。
次は、その遺産の確定の問題に関して、お話ししたいと思います。
東京都港区西新橋1-6-12-804
代表弁護士 藤田 宏
弁護士 政岡 史郎